言語景観とコミック景観

言語景観(Linguistic Landscape)とは看板・標識・掲示物・張り紙などの公共空間における文字言語の活動のことです。早野(2008)「文字に書かれた宮崎方言」では、方言表記の言語景観について報告しましたが、現在は、マンガのキャラクターを活用した言語景観を分析対象に研究を行っています。早野(2018)では、コミックを使用した看板・標識・掲示物・張り紙などの公共空間における活動をコミック景観と命名し、現在、調査・研究を進めています。
 
2019あにきゃん
準備中
 
2018あにきゃん
アニメの聖地立川のイベントとして定着しつつあるあにきゃん。今年は、立川ゆかりのアニメであるフレームアームズ・ガールの 劇場版制作決定記念トークショーやヤマノススメ (サードシーズン)のキャスト、スタッフによるトークショーとグッズ販売が行われました。
会場の様子 アニメとのコラボ商品がならんでいます。
コスプレイヤー みなさん自己表現としてされているようでしたが、作品の世界観を壊さないよう気をつけているとのことです。
痛車 痛車もコスプレも、多くの費用と時間をかけているのが十分わかります。野村総研(2005)は、オタクを容貌等でなく、費用と余暇の使い方で「消費性オタク」、凝り性などの心理的要素から「心理性オタク」と分類していますが、ここで取り上げた方たちは、どちらの要素も兼ね備えていると考えられます。
高麗神社の言語景観
埼玉県日高市に高麗神社(こまじんじゃ)という歴史のある神社があります。所員のひとりが高麗を「こま」と表現する由来(特にこまいぬの起源)を調査しており、その関係で所員3名で高麗神社に参拝してきました。そこで、多言語のおみくじを見かけました。言語景観の研究をはじめて11年目ですが、多言語のおみくじの存在を初めて知りました。(2018/5/23)
立川市駅周辺
立川駅周辺で撮影。「立川立飛歯科」という歯科医院があります。立飛とは立川飛行機株式会社の略称。語源を考慮すると立川が重複しています。立川市がモデルの「学園都市」を舞台にした『とある魔術の禁書目録』(鎌池和馬原作)の自販機が見かけられます。あにきゃんオートキャンプ(いわゆる痛車のイベント)では、多くの痛車が集まりました。立川駅周辺は、アート作品(100を超える作品が設置されている)とマンガのキャラクターが混在しているところに特徴があります。コトブキヤ立川店の店頭には、立川市公認なりそこねキャラクター「ウドラ」のフィギュアが置かれています。
 
 
東京国際展示場(東京ビッグサイト)
期間限定ではありますが、駅から会場までマンガのキャラクターで埋め尽くされています(2016年夏のコミックマーケット開催時)。
秋葉原駅周辺
秋葉原駅周辺の言語景観は、萌えキャラとメイド、多言語表記が特徴です。外国人の多い地域では、英語・韓国語・中国語での併記を見かけますが、ロシア語(キリル文字)での併記は珍しくアキバの特徴といえます。萌えキャラのポスターなどは、現在では珍しいものではありませんが、萌えキャラを窓と壁面全体を使って演出しているビルが並んでいるところにアキバの特徴があります。ゴミ箱に「萌えるごみ」と表記されているものがあり、アキバではマッサージ店も「萌え」になっています。